塗装業界において、異物混入や不良品の発生を防ぐためにエアシャワーの導入は有用な手段の一つです。本記事では、塗装現場におけるエアシャワーの必要性やよくある課題、導入を成功させるポイントを詳しく解説します。
塗装工程において、目に見えないホコリやチリなどの微小な異物は、ブツやハジキといった塗装不良を引き起こす要因となります。品質の低下を抑え、歩留まりの向上を目指すためには、作業員や搬入物からの付着物をあらかじめ取り除く工程が欠かせません。そこで活躍するのがエアシャワーです。クリーンルームや塗装ブースの入り口に設置することで、外部からの汚染物質の持ち込みを強い風によって防ぎます。安定した品質を保つための環境づくりにおいて、エアシャワーは非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。

本社工場に新設されたクリーンルーム型塗装ラインの導入事例です。ゴミ・ブツ不良を防ぐため、入り口に薄型エアシャワーを導入しました。入室時に15秒間のエアー噴射で作業員のホコリを風圧で除去し、室内への侵入を防ぎます。さらに厳密な吸排気制御と加湿器による静電気対策も併用し、極めてクリーンな塗装環境を実現しています。
塗装工場では、すでに多くの設備が稼働していることが多く、新たにエアシャワーを設置するためのスペース確保が難しいという課題がよく見受けられます。導入時には、作業員の日常的な動線や、塗料を積んだ台車の搬入ルートを妨げないように配慮することが求められます。限られた空間を有効に活用するためには、省スペース設計のコンパクトなモデルを検討すると良いでしょう。また、現場のレイアウトに合わせて出入り口の方向を変えられるL字型やT字型のタイプを選ぶことで、スムーズな作業環境を維持しやすくなります。
塗装現場は空気が乾燥しやすく、作業着と塗料の摩擦などによって静電気が発生しやすい環境にあります。静電気を帯びた状態では、せっかくエアシャワーの風で吹き飛ばしたホコリが、再び衣服に吸い寄せられて付着してしまう可能性があります。このような再付着のリスクを減らすためには、製品選びの段階で静電気対策を考慮することが大切です。風を当てるだけでなく、同時に静電気を中和して除去する「イオナイザー(除電器)」が搭載されたエアシャワーを選ぶことで、異物持ち込みの可能性をより低減させることが期待できます。
塗料のミストや微細な粉塵が空気中に浮遊しやすい塗装現場では、エアシャワー内部のHEPAフィルターなどが通常よりも早い段階で目詰まりを起こす懸念があります。フィルターの性能が落ちると、清浄な空気を供給できなくなり、本来の目的を果たせなくなってしまいます。そのため、日常的な清掃がしやすく、フィルター交換の作業負担が少ない構造の機種を選ぶことが、長期的に運用していく上で気をつけるべきポイントです。メンテナンスのしやすさを考慮した機種選定は、導入後のランニングコストや労力を抑えることにもつながるでしょう。
塗装業界においてエアシャワーを導入することは、製品の品質安定や不良品の発生を抑えるための有効な手段と考えられます。自社工場の空いているスペースや、現在現場で生じている課題をしっかりと洗い出すことが大切です。静電気の問題や日々のメンテナンスにかかる手間などを考慮し、それぞれの現場環境に合わせた製品を選ぶことが、導入を成功に導く鍵となるでしょう。
本サイトでは、工場別におすすめのエアシャワーメーカーを掲載しています。導入検討時の参考にしてください。

| 主なフィルター | 制菌防カビ仕様中性能フィルター HEPAフィルター |
|---|---|
| 風速 | 制菌防カビ仕様中性能フィルター:25m/sec以上 HEPAフィルター:20m/sec以上 |
| 集塵性能 | 記載無し |
| 捕集性能 | ・中性能フィルタ:0.4~0.7μm粒子に対して40~50%以上 ※70~80%以上となる高性能フィルタの選定も可能 ・HEPAフィルタ:0.3μm粒子に対して99.97%以上 |
| 標準の床材 | ステンレス |
| ジェット風 | 両側面+天井の3方向 |

| 主なフィルター | HEPAフィルター |
|---|---|
| 風速 | 30m/s ±20%※2 |
| 集塵性能 | 記載無し |
| 捕集性能 | 0.3μm粒子にて99.99%以上 (HEPAフィルター搭載) |
| 標準の床材 | 建築床 |
| ジェット風 | 片吹き |

| 主なフィルター | HEPAフィルター |
|---|---|
| 風速 | 記載なし |
| 集塵性能 | 99%以上(重量法) |
| 捕集性能 | 0.3μm粒子99.97%以上 (DOPテスト) |
| 標準の床材 | 記載無し |
| ジェット風 | 記載無し |
※フィルターの種類:
制菌防カビ仕様中性能フィルター:空気中の微粒子(約1μm以上)を除去しつつ、菌の繁殖やカビの発生を抑える機能を持つフィルター。食品・医療・クリーンエリアなどの衛生管理に有効。
HEPAフィルター:0.3μm以上の微粒子を99.97%以上の高精度で捕集できる高性能フィルター。クリーンルームや精密機器、医薬品製造などに使用される。
※集塵性能とは:空気中の粉塵をどれだけ装置全体で取り除けたかの割合。/捕集性能とは:フィルターなどがどれだけ粉塵を捕まえたかの割合。
※1:※三共空調公式HP(https://sankyo-ku.co.jp/quality.html)(2000年~2024年の実績)
※2:初期における平均値。
※3:別売り。