食品工場での異物混入は、クレームだけでなくブランド価値の毀損や生産ライン停止といった深刻な損失につながることも。
本記事では、食品業界におけるエアシャワー導入の必要性や導入事例などを解説します。
食品工場では原材料が外気に触れる機会が多く、作業者の衣類や搬入物に付着した微細な塵埃・毛髪が製品に混入するリスクがあります。
乾燥粉体やカット野菜など静電気でゴミが付着しやすい工程で混入リスクを避けるなら、エアシャワーが効果的。
高速ジェット気流と高性能フィルターで異物を吹き飛ばしつつ清浄空気だけを循環させることで、交差汚染やアレルゲン拡散を同時に防止可能です。
近年はHACCPの義務化に伴い、入室前エアシャワーの定期点検記録が重視されるようになり、性能証明が難しい旧式機からHEPA対応型へのリプレイス需要も増加しています。
食品工場でエアシャワーを選ぶ際は、風速や本体サイズだけでなく、日々の衛生管理や異物混入対策を継続しやすい仕様かを確認することが重要です。
特に、水洗いや消毒を行う環境への適合性、毛髪・塵埃などを持ち込ませないための対策、導入後の清掃・メンテナンス性は、事前に比較しておきたいポイントです。
食品工場では、衛生状態を維持するために設備や周辺環境を定期的に清掃・消毒する必要があります。そのため、エアシャワーについても日常的な清掃方法や使用する薬剤などを踏まえて材質を選ぶことが大切です。
特に水分が付着しやすい場所では、腐食やサビが衛生管理上のリスクになる可能性があります。水洗いや薬液を使用する環境への設置を想定する場合は、SUS304などのステンレスを使用できるか確認しておきましょう。
本体だけでなく、床面や扉周辺など汚れや水分が付着しやすい部分の材質まで確認しておくと、長期的な衛生管理を行いやすくなります。
エアシャワーは、作業着などに付着した毛髪やホコリを高速気流で吹き飛ばす設備ですが、異物の侵入経路は衣類だけではありません。靴底から持ち込まれる塵埃や毛髪、歩行虫などへの対策も検討する必要があります。
そのため、壁面や天井からのエアジェットだけでなく、床面に粘着マットを設置しやすい構造になっているか、床面に落ちた異物の再付着を抑えられる仕様を選べるかなども比較したいポイントです。
実際に、エアシャワー内の床面に粘着マットを敷き、飛散した毛髪や微細なホコリを捕捉する方法もあります。工場全体の防虫対策を考える場合は、防虫設備などの周辺機器と組み合わせられるかも確認しておきましょう。
エアシャワーは導入して終わりではなく、性能を維持するために庫内の清掃やフィルターの点検・交換を継続する必要があります。
選定時には、床面や壁面にホコリがたまりやすい段差・死角がないか、内部を拭き取りやすいかなど、日常清掃のしやすさを確認しましょう。台車や荷物が通過する場合は、通路部分を段差のない仕様にできる製品もあります。
また、プレフィルターやHEPAフィルターなど、使用するフィルターの種類だけでなく、清掃・交換時期や交換方法についても確認が必要です。メーカーによってはメインフィルターの交換に専門知識が必要な場合もあるため、交換作業を自社で行える範囲とメーカーによる保守対応の範囲まで比較しておくと安心です。
前述した「ステンレス製」「防虫・異物対策」「メンテナンス性」の3つの選定基準を踏まえ、実際に食品工場で異物混入などの課題解決につなげたメーカーのカスタム事例を紹介します。


従業員と工場見学者が兼用で使用する計画にあたり、「動線の分離」と「接触汚染の防止」を両立したオーダーメイド仕様を導入しました。
入室口に2つの自動扉を配置することで、従業員用と見学者用の導線を完全に分割。ドアノブに触れることなく入室できるため、手からの接触による二次汚染のリスクを排除しています。
また、室内空間を最大限広く確保しつつ、天井部や内部の柱部分にもエアー吹出口を増設。機能を損なうことなく大人数の通行にも対応できる、特殊レイアウトのエアシャワーを実現しました。

異物混入対策としてエアシャワーを新設しました。
衝突を防ぐために大型窓をつけて見通しを良くする、操作スイッチや筐体サイズを調整するなど、ヒアリングを通してこの企業の使い方にあったカスタマイズが施されています。
「エアーフェンス」設置後は虫の侵入も減り、より安心して製造に集中できる環境が整いました。

漬物人気による需要増に対応するため作業員を増員予定でしたが、10年以上使用した旧型エアシャワーは風速低下とサビによる故障で稼働率が80%に低下。
始業前には作業員の列ができ、生産開始が遅れるという問題を抱えていました。
日立産機システムのステンレス製のエアシャワーを導入したところ、シャワー時間が1人当たり7秒短縮。
列待ちが改善され、装置も耐腐食仕様でメンテナンス頻度が減少しました。
食品工場でシビアな問題となる異物混入(毛髪、粉塵など)を防ぐために、エアシャワーと周辺アイテムを組み合わせて改善した事例です。

課題:粉末スープ製造ラインにて、靴底に付着した粉が他エリアへ飛散するリスクや、毛髪混入の懸念がありました。
対策:エアシャワー床面に「ステップマット(粘着マット)」を設置し、さらに靴底エアブロー機能を追加しました。
効果:クリーンルーム内への異物持ち込みを低減させ、HACCP基準に沿った衛生管理をサポート。従業員の足裏の汚れも可視化され、衛生意識の向上につながりました。
厳格な衛生管理にも対応できる仕様
2000年~2024年における食品業界へのエアシャワー累積販売台数は、3,800台以上※という実績を誇ります。
三方向吹出しを標準搭載し、HEPAフィルターも選択肢に加えられているため、粉体工程やアレルゲン対応ラインでも安心して導入可能。
構造材はステンレス仕様に、床パネルも耐水性に優れたSUS仕様へ変更できるため、水洗い清掃や薬液殺菌を頻繁に行う食品工場でも、腐食やサビの発生を抑えられるのが大きなメリットです。
狭小搬入経路でも設置可能
エアシャワー本体は、パネルユニットを現地で組み立てるモジュール方式を採用しており、狭い搬入路や曲がり角が多い工場でもスムーズに設置できます。
さらに、人の通行を想定した標準モデルに加え、大型荷物対応のワイド仕様や複数名が同時に通行できるマルチ仕様など、多彩なバリエーションを展開。将来的なレイアウト変更や増築にも柔軟に対応可能です。
全国展開の保守ネットワークと
ISO9001準拠の品質管理
三共空調はISO9001を取得し、設計・製造から品質保証までを本社工場で一貫して対応しています。
東京・大阪・名古屋・福岡など全国にサービス拠点を配置しており、依頼があれば専門スタッフが定期点検・風速測定・フィルター交換を速やかに実施。生産ラインの機能品質を守ります。
食品工場向けエアシャワーを選ぶ際に確認したい「材質」「防虫・異物対策」「メンテナンス性」の3つの観点から、AS-18と三共空調の対応内容を整理しました。
| 選定基準 | AS-18・三共空調の対応 |
|---|---|
| 材質 | 設置環境に応じて、構造材をステンレス仕様、床パネルを耐水性に優れたSUS仕様へ変更可能。水洗いや薬液殺菌を行う食品工場にも対応しやすい仕様を選択できます。 |
| 防虫・ 異物対策 |
エアシャワーによる衣類表面の異物除去に加え、床面の粘着マットなど周辺設備を組み合わせることで、靴底から持ち込まれる異物への対策も検討できます。 |
| メンテナンス性 | プレフィルターの清掃や定期的なフィルター交換によって性能を維持。HEPAフィルターも選択できるため、求める清浄度に応じた仕様を検討できます。 |
食品工場では、エアシャワー単体のスペックだけでなく、工場の衛生管理方法に合わせて材質やフィルター、周辺設備などを組み合わせられるかが重要です。
三共空調は食品工場への導入実績があり、現場に応じたカスタマイズにも対応しているため、前述した3つの選定基準を踏まえてエアシャワーを検討したい企業の選択肢の一つといえます。

食品工場向けの標準モデルで、三方向から25m/s以上の高速気流を吹き付けます。
18個のジェットノズルが体表面の凹凸や衣類の縫い目に入り込んだ微粒子まで短時間で除去可能です。
手指洗浄装置やアルコールディスペンサーとも連携できるため、消毒が完了しないと作業者が退出できない安全機構を構築できます。
| フィルターの種類 | 不織布プレフィルター 中性能メインフィルター |
|---|---|
| 吹出風量 | 19m³/min |
| エアージェットノズル数 | 18個 |
| 各部寸法 | 1,400mm×1,000mm×2,200mm |
| 電源仕様 | 三相200V |
設備を導入して終わりではなく、従業員が正しく使うためのマニュアル化と管理体制の構築が重要です。

入室前ルール:粘着ローラー掛けを規定回数(例:全身に30秒間など)行うことをルール化します。

シャワー作動中のルール:「両手を上げて2回転する」「足踏みをして靴底のゴミを落とす」などの動作を義務化し、気流が全身に当たるよう工夫します。
管理体制の構築:出入り口に監視役を配置するか、チェックシートを設けることで、従業員全体の衛生意識(食品安全文化)の底上げを図ります。
食品工場にエアシャワーを導入することは、異物混入リスクの低減に加え、衛生面や生産効率の向上にも直結します。
三共空調の事例では大型窓や操作部を調整するカスタム対応で安全性を高め、日立産機システムの事例では待ち時間を短縮し、増産体制を後押ししました。導入成功には現場の条件に即した設計とHACCP対応の点検体制が不可欠で、エアシャワーは工場全体の最適化につながる重要な投資といえます。
本サイトでは、工場別におすすめのエアシャワーメーカーを掲載しています。導入検討時の参考にしてください。

| 主なフィルター | 制菌防カビ仕様中性能フィルター HEPAフィルター |
|---|---|
| 風速 | 制菌防カビ仕様中性能フィルター:25m/sec以上 HEPAフィルター:20m/sec以上 |
| 集塵性能 | 記載無し |
| 捕集性能 | ・中性能フィルタ:0.4~0.7μm粒子に対して40~50%以上 ※70~80%以上となる高性能フィルタの選定も可能 ・HEPAフィルタ:0.3μm粒子に対して99.97%以上 |
| 標準の床材 | ステンレス |
| ジェット風 | 両側面+天井の3方向 |

| 主なフィルター | メイン:HEPAフィルター / プレ:不織布フィルター |
|---|---|
| 風速 | 吹き出し風速:約 25 m/s |
| 集塵性能 | 風量:約 23 m³/min(循環回数:約 505 回/時) |
| 捕集性能 | 0.3μm粒子にて99.99%以上 (HEPAフィルター搭載) |
| 標準の床材 | SUS(ステンレス)パンチング床 |
| ジェット風 | パルスジェット+天井エアーカーテン風(両側面+天井) |

| 主なフィルター | HEPAフィルター |
|---|---|
| 風速 | 記載なし |
| 集塵性能 | 99%以上(重量法) |
| 捕集性能 | 0.3μm粒子99.97%以上 (DOPテスト) |
| 標準の床材 | 記載無し |
| ジェット風 | 記載無し |
※フィルターの種類:
制菌防カビ仕様中性能フィルター:空気中の微粒子(約1μm以上)を除去しつつ、菌の繁殖やカビの発生を抑える機能を持つフィルター。食品・医療・クリーンエリアなどの衛生管理に有効。
HEPAフィルター:0.3μm以上の微粒子を99.97%以上の高精度で捕集できる高性能フィルター。クリーンルームや精密機器、医薬品製造などに使用される。
※集塵性能とは:空気中の粉塵をどれだけ装置全体で取り除けたかの割合。/捕集性能とは:フィルターなどがどれだけ粉塵を捕まえたかの割合。
※1:※三共空調公式HP(https://sankyo-ku.co.jp/quality.html)(2000年~2024年の実績)
※2:別売り。