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エアシャワーの中性能フィルター

目次

空調設備やクリーンルームの空気清浄において、目に見えない微細な塵埃を効率よく捕集し、システムの心臓部を守る重要な役割を果たすのが「中性能フィルター」です。

中性能フィルターとは

中性能フィルターの定義(JIS B 9908に基づく分類)

中性能フィルターは、日本の産業規格である「JIS B 9908」において、プレフィルターよりも高く、HEPAフィルターよりも低い捕集性能を持つフィルターとして定義されています。

一般的には「比色法」や「計数法」という試験方法で性能が評価され、空気中の細かな汚れをどれだけ取り除けるかによって等級が分かれます。単にゴミを捕るだけでなく、空気の流れを妨げすぎない「低圧力損失」とのバランスが追求されているのが特徴です。

プレフィルターと高性能フィルターの中間に位置するフィルター

空気清浄の仕組みを駅の検問に例えるなら、プレフィルターが「大きな荷物チェック」、中性能フィルターが「身分証確認」、HEPAフィルターが「精密な生体認証」のような役割分担だと言えます。

プレフィルターでは通り抜けてしまう程度の細かな粒子を、この中性能フィルターが段階的に食い止めることで、空気の清浄度を段階的に引き上げます。これがあることで、最も高価なHEPAフィルターの負担が劇的に減り、システム全体の運用コストを最適化できるのです。

主に捕集する粒子径と除去対象

中性能フィルターがターゲットとするのは、主に1.0μm〜10μm程度の粒子です。具体的には、細かい砂塵や花粉、一部の菌類、さらにはタバコの煙の粒子などが除去対象に含まれます。

プレフィルターが「塊(カタマリ)」としてのゴミを捕まえるのに対し、中性能フィルターは「粉(コナ)」のような目に見えにくい汚れを確実にキャッチするのが任務。この微細な汚れを事前に取り除くことが、工場の製造ラインの汚染防止に直結します。

各種エアフィルターの比較

フィルター名 フィルター目地サイズ どんな粒子を
捕獲できるか
どんなシチュエーションに向いているか 特徴
HEPA 0.3μm粒子を99.97%以上 バクテリア、海塩粒子、顔料、油煙 食品工場、医薬品工場、一般クリーンルーム クリーンルームの「心臓部」。除菌・集塵の標準的メインフィルター。
中性能 1μm〜5μm程度の微小粒子 かび、花粉、小麦粉、セメント粉塵 ビル空調、産業用クリーンルームの省エネ対策 プレとHEPAの中間を担い、清浄度と電力コストのバランスを最適化。
活性炭 分子レベルの吸着 有機溶剤のガス、不快な臭気成分 化学工場、塗装現場、研究施設、脱臭対策 物理的なゴミではなく「臭い・ガス」を化学的に除去することに特化。
ULPA 0.1μm粒子を99.9995%以上 ウイルス、タバコの煙、超微細塵 半導体製造、ナノテクノロジー、精密機器組立 HEPAを超える圧倒的な清浄度を実現する、高性能フィルター。
プレ 10μm〜100μm以上の粗大な塵埃 毛髪、粗い砂、砂糖、大きなホコリ 全てのエアシャワーの一次除塵、HEPAの保護 安価で交換が容易。後続の高級フィルターの寿命を延ばす「門番」。

中性能フィルターの種類と構造

ポケット型、プリーツ型、箱型などのタイプ別特徴

中性能フィルターには、用途や風量に合わせていくつかの代表的な形状が存在します。

使用材質(不織布・合成繊維・ガラス繊維など)

ろ材の材質は、性能とコストに直結する重要な要素です。合成繊維(ポリエステル等)は、帯電させることで微細な粒子を引き寄せる「電石(エレクトレット)」タイプが多く、低い抵抗で高い捕集力を発揮します。

一方でガラス繊維は、熱や湿度の変化に強く、長期にわたって物理的な構造が変化しにくい安定性が魅力です。現場の温度や湿度、求める耐久性によって、これら材質を使い分けるのが専門家としての手法と言えます。

フィルター枠(紙・金属・樹脂)と用途の関係

意外と重要なのが、フィルターを支える「枠(フレーム)」の素材です。安価な紙枠は、使用後の廃棄(焼却)が容易で環境負荷が低いのがメリットですが、水気には弱いため食品工場などでは注意が必要です。

金属枠(アルミ・ステンレス)は、強度と耐食性に優れ、クリーンルーム内での発塵も最小限に抑えられます。樹脂枠は、軽量かつ耐薬品性に優れており、特定のガスが発生する化学・薬品工場などで選定されます。用途に合わせた枠選びが、フィルター脱落などのトラブル防止に繋がります。

主な用途と使用環境

商業ビル・病院・食品工場の空調機フィルターとしての活用

中性能フィルターは、エアシャワーだけでなく一般建築の空調システムでも主役級の活躍をしています。不特定多数の人が集まる商業施設や、高い衛生レベルが求められる病院の手術室・病棟では、外気からの汚染物質流入を防ぐメインフィルターとして機能しています。

食品工場では、原材料への異物混入を防ぐための基本的な衛生設備として、空調の給気口に必ずと言っていいほど設置されています。まさに「見えないバリア」として機能しているわけです。

HEPAフィルター前段での負荷軽減役割

超精密な半導体工場や医薬品製造ラインでは、最終的にHEPAフィルターやULPAフィルターで極限まで清浄度を高めます。しかし、これらの超高性能フィルターは非常に目詰まりしやすく、交換費用も高額です。

中性能フィルターを前段に配置する取り組みによって、HEPAフィルターに届く粒子数を90%以上カットすることも可能です。この「前処理」の徹底が、工場のランニングコスト削減において最も効果的な手法の一つとされています。

清浄度クラスISO8~9に対応する現場の導入例

クリーンルームの国際規格であるISOクラス8(旧クラス100,000)やクラス9といった、比較的緩やかな清浄度が求められる空間では、中性能フィルターが「最終フィルター」として機能することもあります。過剰なスペックを避け、コストと清浄度のバランスを最適化する際に、中性能フィルターは非常に使い勝手の良い選択肢となります。

捕集効率と性能評価基準

JIS B 9908に基づく捕集効率の等級(M5~M6、F7~F9など)

フィルターの性能を判断する際、以前は比色法65%や90%といった呼び方が一般的でしたが、現在はJIS B 9908の改正(ISO 16890への適合)により、より細かな分類が進んでいます。

M5〜M6(中性能)F7〜F9(高性能寄りの中性能)といった欧州規格に近い表記も増えており、対象とする粒子径(0.3〜1.0μmや1.0〜3.0μmなど)に対してどの程度の捕集効率があるかを厳密に確認する手法が推奨されます。自社の現場でどのサイズの粒子が問題になるのかを把握することが、正しい等級選びの第一歩です。

圧力損失と通気性のバランス

フィルターが空気を遮る抵抗(圧力損失)は、工場の電力コストに直結します。性能が高いフィルターほど目が細かく、空気を通すために強いファンパワーが必要になるからです。

最新の中性能フィルターには、特殊なろ材構造により「高効率でありながら超低圧損」を実現している製品もあります。初期の圧力損失だけでなく、ゴミが溜まってきた際の上昇カーブが緩やかなものを選ぶのが、賢いマーケター的視点での設備投資です。

定格風量・初期圧損・最終圧損の確認ポイント

カタログを見る際は、「定格風量」時における「初期圧力損失」を確認してください。そして、もう一つ重要なのが「最終圧力損失(交換推奨値)」です。これは「これ以上抵抗が増えると風量不足や故障を招く」という限界値を示しています。この差(余裕)が大きいフィルターほど、一回あたりの寿命が長く、メンテナンスの手間を減らせる優良な製品と言えます。

メンテナンスと交換の目安

フィルター寿命と交換周期の一般目安(3〜6ヶ月)

使用環境によって大きく変動しますが、一般的な工場や商業ビルの場合、3ヶ月〜6ヶ月が交換の目安とされます。プレフィルターが適切に管理されていることが前提ですが、中性能フィルターは洗浄して再利用することができません。性能が落ちたまま使い続けると、清浄度の低下だけでなく、後段のHEPAフィルターを早期に破壊してしまうリスクがあるため注意が必要です。

圧損上昇による性能劣化の兆候

交換時期を見極める最も確実な方法は、マノメーター(差圧計)による数値管理です。数値が最終圧力損失に近づくと、風速の低下や室圧バランスの崩れが生じます。また、フィルター枠の隙間から空気が漏れ出す「ショートパス」が起こると、一気にクリーンルームの清浄度が悪化するため、目視による定期的なシール状態の確認も欠かせません。

フィルター点検・記録管理と省エネ効果の関係

フィルターの交換記録をデータとして蓄積する手法は、省エネにも大きく貢献します。目詰まりしたフィルターを無理に使い続けると、送風機の負荷が増大し、消費電力が跳ね上がるからです。

「適切なタイミングでの交換」は、フィルター代という経費を消費するだけでなく、電気代の削減という利益を生む活動でもあります。定期的な点検と記録管理を徹底することで、工場全体のエネルギー効率を最大化させることが可能です。

まとめ

中性能フィルターは、空気中の中程度の粒子を確実に除去し、空気清浄設備の要として広く利用されています。プレフィルターとHEPAフィルターの間を埋めるこの「中間の守護神」を正しく選定し、運用することは、工場の品質管理において極めて重要なポイントです。

フィルターの構造や材質、用途に応じて最適なタイプを選び、3〜6ヶ月のスパンで定期的なメンテナンスを行うことで、安定した空気清浄性能と設備の長寿命化、さらには電力コストの削減が期待できます。空調管理の基本として、中性能フィルターの役割を正しく理解し、現場の改善に繋げましょう。

工場別
業務用エアシャワーメーカー3選
食品工場への
導入なら
食品工場の導入実績3,800台以上※1
HACCPに適した衛生環境をサポート
三共空調
三共空調公式HP
引用元:三共空調公式HP
(https://sankyo-ku.co.jp/advice.html)
  • 床には耐水性に優れたステンレスを採用し、フィルターも抗菌・防カビ仕様を選択可能。水や湿気が多い食品工場で長期にわたり衛生状態を保ち、HACCP対応も円滑
  • 現場組立式と柔軟なサイズ・レイアウト調整により、狭い搬入路や限られた設置スペースにも対応でき、食品工場への後付け導入もスムーズ
主な仕様内容
主なフィルター 制菌防カビ仕様中性能フィルター
HEPAフィルター
風速 制菌防カビ仕様中性能フィルター:25m/sec以上
HEPAフィルター:20m/sec以上
集塵性能 記載無し
捕集性能 ・中性能フィルタ:0.4~0.7μm粒子に対して40~50%以上
※70~80%以上となる高性能フィルタの選定も可能
・HEPAフィルタ:0.3μm粒子に対して99.97%以上
標準の床材 ステンレス
ジェット風 両側面+天井の3方向
電子部品工場への
導入なら
高い除塵性能と除電効果で
清浄度クラスISO5レベルに対応
日立産機システム
日立産機システム公式HP
引用元:日立産機システム公式HP
(https://www.hitachi-ies.co.jp/products/cleanair/airshower/high_efficiency/index.html)
  • 広範囲へのエアジェットの吹き付けが可能な独自技術を実装。粉塵一つも許されない電子部品工場に向く、風速30m/s±20%※2による除塵で品質の安定化を実現
  • プラズマクラスターイオンによる除電で着衣への異物の再付着を抑制するだけでなく、電子部品に致命的な放電リスクも減らすことができ、製品不良を低減
主な仕様内容
主なフィルター HEPAフィルター
風速 30m/s ±20%※2
集塵性能 記載無し
捕集性能 0.3μm粒子にて99.99%以上
(HEPAフィルター搭載)
標準の床材 建築床
ジェット風 片吹き
清掃工場への
導入なら
長年の集塵技術を活かした
粉塵環境特化の設計
アマノ
アマノ公式HP
引用元:アマノ公式HP
(https://www.amano.co.jp/kankyo/product/dc/dc_o/js-30.html)
  • 1951年から工場向けの集塵機を開発・製造してきた技術を活かすことで、一般的なエアシャワーでは対応しきれないほど塵埃が多い現場でも、粉塵の持ち出しを防ぎ、清掃負担・メンテナンスコストを軽減
  • グレーチング下部に溜まった粉塵は、掃除機※3を使えば手を汚さずに一括回収でき、従業員の健康リスクなど二次被害を防止
主な仕様内容
主なフィルター HEPAフィルター
風速 記載なし
集塵性能 99%以上(重量法)
捕集性能 0.3μm粒子99.97%以上
(DOPテスト)
標準の床材 記載無し
ジェット風 記載無し

※フィルターの種類:
制菌防カビ仕様中性能フィルター:空気中の微粒子(約1μm以上)を除去しつつ、菌の繁殖やカビの発生を抑える機能を持つフィルター。食品・医療・クリーンエリアなどの衛生管理に有効。
HEPAフィルター:0.3μm以上の微粒子を99.97%以上の高精度で捕集できる高性能フィルター。クリーンルームや精密機器、医薬品製造などに使用される。
※集塵性能とは:空気中の粉塵をどれだけ装置全体で取り除けたかの割合。/捕集性能とは:フィルターなどがどれだけ粉塵を捕まえたかの割合。
※1:※三共空調公式HP(https://sankyo-ku.co.jp/quality.html)(2000年~2024年の実績)
※2:初期における平均値。
※3:別売り。

工場別
業務用エアシャワー
メーカー3選