現代は半導体製造の高度化にともない、わずか0.1µmの異物でも歩留まりに直結する時代です。
クリーンルーム内に持ち込まれる粒子の多くが作業者に由来するもの。入室前に微粒子を吹き払い、ISO Class基準を守るエアシャワーの導入は、良品率と信頼性を左右する重要な要素です。
本記事では、半導体製造業界の導入事例、選定時のポイントや導入成功の秘訣などを解説します。
半導体チップは配線幅が数nmへと微細化し、1粒の埃でも回路短絡やリークを招きます。ISO14644-1では、最終成膜工程でISO Class4(0.1µm粒子≥10個/m³)を要求する企業も。
エアシャワーは入口のエアロックとして機能し、20~30m/sの高速HEPA/ULPA気流でガウン表面の粒子を除去してから内部へ入室させることで、クリーンルームの清浄度を維持します。
両扉を電磁ロックでインターロックすることで正圧バランスを保ち、外気の逆流を物理的に遮断。歩留まり低下の抑制だけでなく、フォトレジスト(感光樹脂)の欠陥検査や最終テストの工数削減など、工程全体のコスト適正化にも寄与します。

半導体関連部材メーカーの事例です。新工場立ち上げ時に1階は有機溶剤洗浄ラインのため排気設備、2階は帯電防止のために温湿度管理が必要という異なる環境を持つ製造フロアを構築する必要がありました。
1階にはClass10,000の一般空調クリーンルーム、2階にはClass1,000の恒温恒湿クリーンルームを併設し、各入口に高速気流型エアシャワーと自動扉インターロックを配置。長期休暇中は設備を自動停止し、再稼働時に自動復帰させる制御を組み込みました。
異なる清浄度に合わせた衛生対策ができ、省エネにも貢献しています。
求めるクリーン度(例:前工程ISO Class5、後工程Class7など)に合わせて、フィルターの仕様の確認が必要です。自社の製造ラインに必要なスペックの製品を選びましょう。
耐久性も大切です。24時間稼働・高頻度利用を前提とするため、ドアの開閉耐久回数が100万回を超える電磁ロックや、差圧モニター付きフィルターユニットなど、保守性の高い構造を選ぶと年間のダウンタイムを短縮できます。
搬送台車やウエハカセット専用のマテリアルシャワーと作業員用を分離し、自動扉と連動させることで人と物の動線を交差させず、異物混入や汚染の原因を根本から遮断可能です。インターロック制御は、2枚以上の扉を同時開放しない設計が基本で正圧崩れを防ぎます。
半導体製造では、わずか0.1µmの異物でも歩留まりに直結し、生産性やコストに大きな影響を与えます。今回紹介した事例では、異なる清浄度を持つフロアに高速エアシャワーと自動扉インターロックを導入し、生産歩留まりとランニングコストを両立しました。
エアシャワーはクリーンルームの正圧維持や異物遮断に不可欠な装置であり、歩留まり改善に直結する投資です。具体的な導入検討には、工場規模やライン特性に合わせた相談が欠かせません。
本サイトでは、工場別におすすめのエアシャワーメーカーを掲載しています。導入検討時の参考にしてください。

| 主なフィルター | 制菌防カビ仕様中性能フィルター HEPAフィルター |
|---|---|
| 風速 | 制菌防カビ仕様中性能フィルター:25m/sec以上 HEPAフィルター:20m/sec以上 |
| 集塵性能 | 記載無し |
| 捕集性能 | ・中性能フィルタ:0.4~0.7μm粒子に対して40~50%以上 ※70~80%以上となる高性能フィルタの選定も可能 ・HEPAフィルタ:0.3μm粒子に対して99.97%以上 |
| 標準の床材 | ステンレス |
| ジェット風 | 両側面+天井の3方向 |

| 主なフィルター | HEPAフィルター |
|---|---|
| 風速 | 30m/s ±20%※2 |
| 集塵性能 | 記載無し |
| 捕集性能 | 0.3μm粒子にて99.99%以上 (HEPAフィルター搭載) |
| 標準の床材 | 建築床 |
| ジェット風 | 片吹き |

| 主なフィルター | HEPAフィルター |
|---|---|
| 風速 | 記載なし |
| 集塵性能 | 99%以上(重量法) |
| 捕集性能 | 0.3μm粒子99.97%以上 (DOPテスト) |
| 標準の床材 | 記載無し |
| ジェット風 | 記載無し |
※フィルターの種類:
制菌防カビ仕様中性能フィルター:空気中の微粒子(約1μm以上)を除去しつつ、菌の繁殖やカビの発生を抑える機能を持つフィルター。食品・医療・クリーンエリアなどの衛生管理に有効。
HEPAフィルター:0.3μm以上の微粒子を99.97%以上の高精度で捕集できる高性能フィルター。クリーンルームや精密機器、医薬品製造などに使用される。
※集塵性能とは:空気中の粉塵をどれだけ装置全体で取り除けたかの割合。/捕集性能とは:フィルターなどがどれだけ粉塵を捕まえたかの割合。
※1:※三共空調公式HP(https://sankyo-ku.co.jp/quality.html)(2000年~2024年の実績)
※2:初期における平均値。
※3:別売り。