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エアシャワーの捕集効率

目次

エアシャワーを選定・比較する際、「捕集効率」の数値はどこまで参考にできるのか気になる方も多いはずです。本記事では、エアシャワーに用いられるHEPA・ULPAフィルターの基準から、実際の測定方法、効率を維持するための運用ポイントまでを整理し、クリーンルームや食品工場の担当者が押さえておきたい考え方を解説します。

捕集効率とは何か?

捕集効率の定義(粒子の除去率)

捕集効率とは、フィルターやエアシャワーを通過する前後の粒子数を比較し、「どれだけの割合の粒子を捕まえられたか」を示す指標です。一般的には(入口濃度-出口濃度)÷入口濃度×100(%)で算出され、100%に近いほど除去性能が高いと評価されます。

ここでの粒子とは、塵埃・毛髪片・繊維くず・微生物などで、対象とする粒径(何μmの粒子か)を明示しないと数値の意味が変わってしまいます。エアシャワーの場合、「0.3μm粒子に対して99.97%」のように、粒径と組み合わせて捕集効率を見ることが、異物対策レベルを判断するうえで欠かせません。

HEPAフィルター・ULPAフィルターの分類と捕集率

エアシャワーに多く採用されるのが、高性能なHEPAフィルターとULPAフィルターです。JISではHEPAを0.3μmの粒子に対して99.97%以上の捕集率を持つフィルターと定義しており、ULPAはさらに厳しく、0.15μm前後の粒子に対して99.9995%以上を捕集できるグレードとされています。

どちらも微細粒子を高い確率で捕まえられますが、そのぶん圧力損失が大きく、送風機やダクト設計とのバランスが必要です。また最近は、HEPAよりやや性能が低いEPAクラスを組み合わせ、コストとのバランスを取るケースも見られます。

JIS規格に基づく評価基準(例:99.97%以上 at 0.3μm)

従来はJIS Z 8122で、定格風量・0.3μmの粒子に対して99.97%以上という基準がHEPAの代表値として用いられてきました。一方、新しいJIS B 9927では、最も粒子が透過しやすい粒径(MPPS:Most Penetrating Particle Size)に対する捕集効率でEPA・HEPA・ULPAを区分する方式に移行しています。

エアシャワーメーカーのカタログには、旧来の「0.3μmで99.97%」表記と、MPPSに基づく新しい表記が混在していることもあるため、同じ「HEPA」と書かれていても評価条件が異なる場合がある点を理解しておくと比較検討がしやすくなります。

捕集効率に影響するエアシャワーの要素

フィルターの種類と性能の違い

エアシャワーの捕集効率を語るうえで最もわかりやすい要素が、内蔵されているフィルターの種類です。一般的には、粗塵を捕るプレフィルター、高性能なHEPAまたはULPAフィルターという二段構成が採用され、プレフィルターが大きな埃を先に捕まえることで、メインフィルターの目詰まりを抑えます。HEPA・ULPAのグレードが高いほど微細粒子の捕集効率は上がりますが、そのぶんランニングコストや圧力損失も増加します。

エアシャワーを導入する際は、求めるクリーン度に対して「どの粒径までを、どの程度の捕集効率で抑えたいか」を整理し、フィルター構成を選ぶことが重要です。

風速・気流設計との相乗効果

フィルター性能だけでは、エアシャワー全体の捕集効率は決まりません。実際には、ノズルから噴射される風速・風量、ノズル配置、吸い込みグレーチングの位置など、気流設計との相乗効果が大きく影響します。

一般的な人用エアシャワーでは、20m/s前後の高速ジェット気流で衣服表面の粒子を剥離し、床面の吸い込みへ誘導する方式が用いられています。風速が弱すぎると粒子が剥がれず、逆に強すぎると乱流で再飛散してしまうこともあるため、「十分な剥離力」と「下方向への安定した流れ」の両立が捕集効率向上のポイントです。

設置環境や使用条件の影響

同じ仕様のエアシャワーでも、設置場所や運用方法によって実際の捕集効率は変わります。たとえば、前室の清浄度が低すぎるとエアシャワー入口の粒子濃度が高まり、処理しきれない粒子が残る可能性があります。また、通過人数が多く扉の開閉回数が増えると、室内の清浄度が回復する前に次の入室が始まり、捕集効率が下がって見えるケースもあります。

さらに、作業者がエアシャワー内で十分に回転せず、決められた時間より早く退出してしまうと、衣服の一部に風が当たらないままになり、除去性能が十分に発揮されません。このように、「装置のスペック」と同じくらい「設置環境・運用条件」を整えることが求められます。

捕集効率の測定方法と管理基準

パーティクルカウンターによる実測法

エアシャワーの捕集効率を確認する際に現場でよく使われるのが、パーティクルカウンターを用いた粒子数の測定です。基本的な考え方は、エアシャワーの入口側と出口側で粒子数を計測し、特定粒径ごとの減少率を求めるというものです。ただし、実際には人の出入りや外乱の影響を受けやすく、「エアシャワー単体の性能」だけを切り出して評価するのは容易ではありません。

そのため、測定結果はあくまで「運用条件込みの総合的な除去性能」として捉え、定期的に同じ条件で推移を追うことで、大きな変化がないかを見るのが現実的な運用方法です。

フィルター性能試験と定期点検の重要性

エアシャワー本体の捕集効率評価が難しい一方で、フィルター単体の性能はJISやISOなどに基づく試験で確認できます。新しいJIS B 9927では、EPA・HEPA・ULPAフィルターのろ材についてMPPS粒子に対する捕集効率を測定する試験方法が定められています。

現場では、定期点検時に差圧計の値や風量を確認し、必要に応じてフィルターの漏れ試験や更新を行うことで設計時に想定した捕集効率を維持できます。点検結果の記録を残しておけば、監査対応やトラブルシューティング時にも役立ちます。

使用年数による劣化と性能低下の兆候

フィルターは使い続けるほど塵埃を蓄積し、圧力損失が増加していきます。目詰まりが進むと風量が低下し、ノズルからの風速が設計値を下回ることで、エアシャワー全体の捕集効率も低下してしまいます。また、過度な振動や取り付け不良があると、フィルターフレームと本体の隙間からバイパス流が発生し、捕集されない粒子が通り抜ける恐れもあります。

差圧の急激な上昇、ノズル風速の低下、騒音の変化などは、フィルター劣化や送風系統の異常を示すサインとなるため、点検時にはこれらの兆候をチェックし、寿命管理に役立てることが重要です。

捕集効率を維持・向上させるポイント

定期的なフィルター交換と清掃管理

高い捕集効率を長期間維持するためには、定期的なフィルター交換と清掃が欠かせません。プレフィルターは比較的安価なため、月次~数カ月単位でこまめに交換・洗浄し、HEPA・ULPAフィルターの負荷を減らすのが基本です。メインフィルターについては、差圧の推移や年間の稼働時間をもとに交換周期を設定し、突発的な性能低下が起こらないよう予防的な更新を行います。

あわせて、ノズル・グレーチング周辺の埃溜まりを除去し、吸い込み口の目詰まりを防ぐことで、設計どおりの気流バランスと捕集効率を保ちやすくなります。

正しい風速・流向設定の見直し

エアシャワーの捕集効率は、フィルターを交換しただけでは回復しない場合があります。設置後にダクト改造や室圧条件が変わったことで風量が不足し、ノズルからの風速が低下しているケースも少なくありません。定期点検の際には、代表ノズルでの風速測定や、スモークテストによる気流可視化を行い、上から下へ渦を描くような流れが形成されているか確認するとよいでしょう。

必要に応じて風量設定やノズル角度の調整を行い、粒子を確実に剥離して下方へ運ぶ流れを再現することで、フィルターの捕集性能を最大限に引き出せます。

作業者教育とエアシャワー内での正しい使用方法

エアシャワーの捕集効率は、作業者の使い方によっても大きく左右されます。例えば、設定時間より短く扉を開けてしまう、エアシャワー内で身体を回転させない、手に持った物品を体の陰に隠してしまう、といった行動は除去漏れの原因になります。そのため、入室手順書や教育資料でエアシャワー内での立ち位置・姿勢・回転方向を具体的に示し、定期的な教育を行うことが重要です。

エアシャワーの正しい使用方法については、下記ページもあわせて参照すると、現場指導に活用しやすくなります。

まとめ

エアシャワーの捕集効率は、異物除去性能そのものを示す重要な基準であり、フィルターのグレードだけでなく、風速・気流設計・設置環境・作業者の使い方など多くの要素が関わっています。JIS規格に基づく高性能フィルターを採用し、定期点検とフィルター管理を行うことで、粒子の侵入を最小限に抑え、クリーンな作業環境を安定して維持することが可能です。

導入を検討する際は、カタログ上の捕集効率だけでなく、メーカーの提案する運用方法やメンテナンス体制も含めて総合的に比較・選定するとよいでしょう。

エアシャワーの仕組み
についてのまとめ

エアシャワーは、シンプルな構造ながら約30秒で粒子を除去できる高効率装置です。仕組みを理解すれば、適切な運転時間やノズル配置が分かり、導入効果を最大限に活用可能。

スペース、処理人数、運用ルールを踏まえて適切な機種を選定し、定期点検と教育をセットで行えば、衛生管理レベルが向上し、顧客や監査機関からの信頼獲得にもつながります。

本サイトでは、工場別におすすめの業務用エアシャワーメーカーを掲載しています。導入検討時の参考にしてください。

工場別
業務用エアシャワーメーカー3選
食品工場への
導入なら
食品工場の導入実績3,800台以上※1
HACCPに適した衛生環境をサポート
三共空調
三共空調公式HP
引用元:三共空調公式HP
(https://sankyo-ku.co.jp/advice.html)
  • 床には耐水性に優れたステンレスを採用し、フィルターも抗菌・防カビ仕様を選択可能。水や湿気が多い食品工場で長期にわたり衛生状態を保ち、HACCP対応も円滑
  • 現場組立式と柔軟なサイズ・レイアウト調整により、狭い搬入路や限られた設置スペースにも対応でき、食品工場への後付け導入もスムーズ
主な仕様内容
主なフィルター 制菌防カビ仕様中性能フィルター
HEPAフィルター
風速 制菌防カビ仕様中性能フィルター:25m/sec以上
HEPAフィルター:20m/sec以上
集塵性能 記載無し
捕集性能 ・中性能フィルタ:0.4~0.7μm粒子に対して40~50%以上
※70~80%以上となる高性能フィルタの選定も可能
・HEPAフィルタ:0.3μm粒子に対して99.97%以上
標準の床材 ステンレス
ジェット風 両側面+天井の3方向
電子部品工場への
導入なら
高い除塵性能と除電効果で
清浄度クラスISO5レベルに対応
日立産機システム
日立産機システム公式HP
引用元:日立産機システム公式HP
(https://www.hitachi-ies.co.jp/products/cleanair/airshower/high_efficiency/index.html)
  • 広範囲へのエアジェットの吹き付けが可能な独自技術を実装。粉塵一つも許されない電子部品工場に向く、風速30m/s±20%※2による除塵で品質の安定化を実現
  • プラズマクラスターイオンによる除電で着衣への異物の再付着を抑制するだけでなく、電子部品に致命的な放電リスクも減らすことができ、製品不良を低減
主な仕様内容
主なフィルター HEPAフィルター
風速 30m/s ±20%※2
集塵性能 記載無し
捕集性能 0.3μm粒子にて99.99%以上
(HEPAフィルター搭載)
標準の床材 建築床
ジェット風 片吹き
清掃工場への
導入なら
長年の集塵技術を活かした
粉塵環境特化の設計
アマノ
アマノ公式HP
引用元:アマノ公式HP
(https://www.amano.co.jp/kankyo/product/dc/dc_o/js-30.html)
  • 1951年から工場向けの集塵機を開発・製造してきた技術を活かすことで、一般的なエアシャワーでは対応しきれないほど塵埃が多い現場でも、粉塵の持ち出しを防ぎ、清掃負担・メンテナンスコストを軽減
  • グレーチング下部に溜まった粉塵は、掃除機※3を使えば手を汚さずに一括回収でき、従業員の健康リスクなど二次被害を防止
主な仕様内容
主なフィルター HEPAフィルター
風速 記載なし
集塵性能 99%以上(重量法)
捕集性能 0.3μm粒子99.97%以上
(DOPテスト)
標準の床材 記載無し
ジェット風 記載無し

※フィルターの種類:
制菌防カビ仕様中性能フィルター:空気中の微粒子(約1μm以上)を除去しつつ、菌の繁殖やカビの発生を抑える機能を持つフィルター。食品・医療・クリーンエリアなどの衛生管理に有効。
HEPAフィルター:0.3μm以上の微粒子を99.97%以上の高精度で捕集できる高性能フィルター。クリーンルームや精密機器、医薬品製造などに使用される。
※集塵性能とは:空気中の粉塵をどれだけ装置全体で取り除けたかの割合。/捕集性能とは:フィルターなどがどれだけ粉塵を捕まえたかの割合。
※1:※三共空調公式HP(https://sankyo-ku.co.jp/quality.html)(2000年~2024年の実績)
※2:初期における平均値。
※3:別売り。

工場別
業務用エアシャワー
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