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エアシャワーとパスボックスの違い

目次

エアシャワーは人に付着した粉塵を吹き飛ばす除塵装置、パスボックスは物品専用の受け渡し装置として、それぞれ役割が異なります。ただ「クリーンエリアへの異物持ち込みを防ぐ」目的が共通しているため、導入検討時にどちらを選ぶべきか判断に迷うケースも見られます。

本記事では、エアシャワーとパスボックスの違いを整理しながら、現場に合わせた使い分けの判断基準と、併設するときのポイントについて解説します。

エアシャワーとパスボックスの
基本的な違い

エアシャワーの役割

エアシャワーは、クリーンエリアへ入室する作業員の衣服や身体に付着した粉塵・毛髪・繊維くずを、高速ジェットエアで吹き飛ばすための装置です。

設置場所は、クリーンルームや衛生管理エリアの入口。前後の扉にはインターロックが備わっており、清浄区域と非清浄区域が同時に開かないよう制御されます。除塵後の空気はフィルターを通して循環・清浄化されるため、装置内部の衛生状態も一定に保たれます。

対象はあくまで人であり、資材や製品などの物品は原則として通しません。物品を持ち込む場合でも、小さな備品程度に限定されます。

パスボックスの役割

パスボックスは、物品専用の受け渡し装置です。壁面に埋め込む形で設置し、非清浄区域と清浄区域のあいだで資材・部品・製品を受け渡す際の異物や気流の流入を抑える役割を持ちます。

両側の扉は同時に開かないインターロック構造で、パスボックス内をエアクリーニングしてから反対側の扉を開ける流れが基本です。HEPAフィルターと送風ファンを内蔵したエアシャワー機能付きモデルもあり、清浄度クラスの高い現場で採用されるケースが多く見られます。

人が通ることは想定されておらず、サイズもW450〜W900mm程度の小型が中心。台車が入るような大型仕様は、独立した装置として設計されます。

参照元:ホクト総研公式HP(https://www.hokuto-sk.co.jp/product/passbox/

エアシャワーとパスボックスの
比較ポイント

対象物と設置目的

もっともわかりやすい違いは、対象が「人」か「物品」かという点にあります。作業員の入退室にはエアシャワー、資材や製品の受け渡しにはパスボックスが使われる、というのが基本の役割分担です。

この違いは、清浄度クラスや異物混入リスクの管理設計に直結します。人と物品の動線を分けることで、それぞれのタイミングで発生する異物を効率よく遮断できる構成になります。

サイズと設置場所

エアシャワーは1〜2人が通過する標準型で幅1,000〜1,500mm、奥行1,000mm前後が一般的で、床から設置する据付型が中心です。多人数用のトンネル型では通路が長くなり、規模もさらに大きくなります。

一方でパスボックスは、壁面に埋め込む小型サイズが主流です。W450〜W900mm程度が多く、床工事や大掛かりな搬入は不要で、既設のクリーンルームに後付けしやすい特徴があります。

参照元:三共空調公式HP(https://sankyo-ku.co.jp/advice.html

参照元:ホクト総研公式HP(https://www.hokuto-sk.co.jp/product/passbox/

送風と気流の制御

エアシャワーはノズルからの高速ジェットで衣服から粉塵を「剥がす」ことが目的で、標準的な風速は20〜30m/s。送風時間は15〜30秒が目安です。

パスボックスの送風は、扉の開閉時に外気が流入するのを抑えることが主な目的で、風速や送風時間はエアシャワーほど大きくありません。エアシャワー機能付きのパスボックスでは、内部の物品に付着した粉塵除去も担います。

現場別・どちらを選ぶべきか

人の出入りが多い工場

作業員の入退室が多い食品・化粧品・電子部品工場などでは、まずエアシャワーが優先されるケースがほとんどです。粉塵や毛髪の持ち込みが品質リスクに直結するため、除塵装置としての効果が高い設備を入口に設置する形が基本になります。

物品の搬入頻度が低い現場では、パスボックスがなくても運用できる場合もあります。ただし、稼働時間中に部品の受け渡しが発生する現場では、扉の開閉ごとに外気が流入するリスクを避けたいため、小型のパスボックスを追加設置する構成が検討されます。

物品の受け渡しが多い現場

製品や資材の受け渡しが頻繁な現場、または研究施設のように人の入退室よりも物品のやり取りが多い環境では、パスボックスの優先度が高くなります。特に無菌操作を伴う医薬品・バイオ関連の現場では、必須の設備として扱われることが少なくありません。

作業員の通行が少ない現場でも、点検やメンテナンス時の入退室には対応が必要になります。この場合は、小型のエアシャワーを補助的に設置する方法が現実的な選択肢です。

両方が必要になる医薬品・食品現場

医薬品・食品・化粧品といった高い衛生基準が求められる現場では、エアシャワーとパスボックスの両方を併設するのが一般的です。GMPやHACCPの要求水準を満たすには、人と物品の双方について異物混入対策を講じる必要があります。

両者を組み合わせることで、清浄区域への持ち込みリスクを多重に遮断できます。稟議・設計の段階でどちらか一方に絞らず、両方の設置を前提として動線を組む工場も増えています。

エアシャワーとパスボックスを
併設するときのポイント

人動線と物動線の分離

併設する際は、人と物品の動線を明確に分けたレイアウトにすることが基本です。同じ扉から人と物品が交互に通過する運用は、インターロックの制御タイミングが乱れやすく、清浄度維持の観点でも避けたい構成と言えます。

入退室ルートと搬入ルートをそれぞれ別の壁面に配置し、作業者が迷わない位置関係にしておくと、運用開始後のトラブルを減らせます。

差圧管理と気流設計

エアシャワーとパスボックスは、いずれも通過時に扉が開閉するため、クリーンルーム全体の差圧に影響を与えます。両方を設置する場合は、それぞれの動作タイミングを踏まえて差圧が崩れない気流設計を組む必要があります。

稼働時間中に頻繁に開閉が発生する現場では、差圧管理を任意にせず、監視計器と連動させて自動制御する仕組みを取り入れると安定します。

清浄度クラスと機種選定

要求される清浄度クラスによって、エアシャワーの風速・フィルター性能と、パスボックスの気流方式が変わります。ISOクラス5〜6の医薬品現場では、両装置ともHEPA以上のフィルターと、より厳密な気流制御が求められます。

導入前に自社の清浄度要件を確認したうえで、両装置を単独ではなく一組の異物遮断ユニットとして仕様を検討することで、無駄のない構成に落とし込めます。

まとめ

エアシャワーは人の除塵、パスボックスは物品の受け渡しに使われる設備で、目的も構造も異なります。ただし、いずれも「クリーン区域への異物持ち込み対策」という共通の役割を持つため、現場の衛生基準や運用スタイルに応じてどちらを優先するか、あるいは併設するかを判断する必要があります

選定にあたっては、業界特有の要件(食品ならHACCP、医薬品ならGMP)や、通過人数・搬入頻度・清浄度クラスを踏まえて、装置の仕様を組み立てることが重要です。単体スペックの比較だけで判断すると、運用開始後に動線のミスマッチが発生しやすく、追加工事が必要になる場合もあるので、注意しましょう。

以下のページでは、業界ごとの衛生基準や導入実績に強みを持つエアシャワーメーカーを紹介しています。パスボックスとの併設まで見据えた提案が可能な会社もあるため、比較検討の参考にしてください。

工場別
業務用エアシャワーメーカー3選
食品工場への
導入なら
食品工場の導入実績3,800台以上※1
HACCPに適した衛生環境をサポート
三共空調
三共空調公式HP
引用元:三共空調公式HP
(https://sankyo-ku.co.jp/advice.html)
  • 床には耐水性に優れたステンレスを採用し、フィルターも抗菌・防カビ仕様を選択可能。水や湿気が多い食品工場で長期にわたり衛生状態を保ち、HACCP対応も円滑
  • 現場組立式と柔軟なサイズ・レイアウト調整により、狭い搬入路や限られた設置スペースにも対応でき、食品工場への後付け導入もスムーズ
主な仕様内容
主なフィルター 制菌防カビ仕様中性能フィルター
HEPAフィルター
風速 制菌防カビ仕様中性能フィルター:25m/sec以上
HEPAフィルター:20m/sec以上
集塵性能 記載無し
捕集性能 ・中性能フィルタ:0.4~0.7μm粒子に対して40~50%以上
※70~80%以上となる高性能フィルタの選定も可能
・HEPAフィルタ:0.3μm粒子に対して99.97%以上
標準の床材 ステンレス
ジェット風 両側面+天井の3方向
電子部品工場への
導入なら
独自のパルス気流と強力な除電で
清浄度クラスISO5レベルに対応
日本エアーテック
AAS-1810-1型
引用元:エアーテック公式HP
(https://www.airtech.co.jp/products/airshower/prod_1341/)
  • パルスジェットノズルによる間欠的な波動風を照射する独自技術を実装。微粒子一つも許されない電子部品工場に向く、脈動風と天井気流による除塵で品質の安定化を実現
  • 静電気除去(イオナイザー)機能と帯電防止仕様で着衣への異物の再付着を抑制するだけでなく、電子部品に致命的な放電リスクも減らすことができ、製品不良を低減
主な仕様内容
主なフィルター メイン:HEPAフィルター / プレ:不織布フィルター
風速 吹き出し風速:約 25 m/s
集塵性能 風量:約 23 m³/min(循環回数:約 505 回/時)
捕集性能 0.3μm粒子にて99.99%以上
(HEPAフィルター搭載)
標準の床材 SUS(ステンレス)パンチング床
ジェット風 パルスジェット+天井エアーカーテン風(両側面+天井)
清掃工場への
導入なら
長年の集塵技術を活かした
粉塵環境特化の設計
アマノ
アマノ公式HP
引用元:アマノ公式HP
(https://www.amano.co.jp/kankyo/product/dc/dc_o/js-30.html)
  • 1951年から工場向けの集塵機を開発・製造してきた技術を活かすことで、一般的なエアシャワーでは対応しきれないほど塵埃が多い現場でも、粉塵の持ち出しを防ぎ、清掃負担・メンテナンスコストを軽減
  • グレーチング下部に溜まった粉塵は、掃除機※2を使えば手を汚さずに一括回収でき、従業員の健康リスクなど二次被害を防止
主な仕様内容
主なフィルター HEPAフィルター
風速 記載なし
集塵性能 99%以上(重量法)
捕集性能 0.3μm粒子99.97%以上
(DOPテスト)
標準の床材 記載無し
ジェット風 記載無し

※フィルターの種類:
制菌防カビ仕様中性能フィルター:空気中の微粒子(約1μm以上)を除去しつつ、菌の繁殖やカビの発生を抑える機能を持つフィルター。食品・医療・クリーンエリアなどの衛生管理に有効。
HEPAフィルター:0.3μm以上の微粒子を99.97%以上の高精度で捕集できる高性能フィルター。クリーンルームや精密機器、医薬品製造などに使用される。
※集塵性能とは:空気中の粉塵をどれだけ装置全体で取り除けたかの割合。/捕集性能とは:フィルターなどがどれだけ粉塵を捕まえたかの割合。
※1:※三共空調公式HP(https://sankyo-ku.co.jp/quality.html)(2000年~2024年の実績)
※2:別売り。

異物混入・製品不良リスクを低減!
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